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〜おさむクリニック新聞から〜
  
2.ひとこと言わせてもらおう
(おさむクリニック新聞2001年7月号より)

  クリニックの駐車場の溝や植え込みに投げ捨てられたタバコの吸殻を拾いながらふつふつと怒りが込み上げてくる。「どこのどいつだ!気軽にタバコを捨てるおまえらに、この唾液のついた汚染物を拾い集める者の気持ちがわかるか!体に悪いタバコをしっかり吸って死ぬのは勝手だが人に迷惑をかけるんじゃない!あなたたちはモラルという言葉の存在を知っているのか!」

 おいしいと評判のレストランに行ってみる。評判ほどの味ではない。周りを見渡すと5組の客のうち3組がタバコを吸っている。鼻から煙を吐きながら食事をしている若い女性を見ながら考える。「一流のシェフであれば自分の作った料理にはこだわりがある。味のわかる客に食べてほしいはずだ。レストランを禁煙にしていないということは、味覚の悪いタバコ吸いにも料理を出すということだ。結局この店のシェフは料理に対するこだわりも自信も愛情もないのだ。おいしくなくてあたりまえだ」と。

 この人は素敵な人だ、立派な人だ、尊敬できる人だと思っていた人が、人前でタバコを吸うところを見るとがっくりしてしまう。たった1本のタバコが、その人の良い面をすべて覆い隠し、人間性まで疑ってしまう。分別ある人間ならば少なくともタバコを吸っているところを人に見せるべきではない。タバコのにおいもさせてはならない。タバコは嗜好品だ個人の趣味だと反論する無かれ。あなたは昼間からビールを飲み、空き缶をそこらに平気で捨てる酒くさい人間を弁護できるか。ビールがタバコに置き換わっただけですべてが正当化できるわけではないのだ。有害な煙を出さないだけビールのほうがずっとましだ。趣味なら一人自室でゆっくり楽しむべきである。

 子供の前でタバコを吸う大人に親の資格は無い、学校(生徒の前)でタバコを吸う教師に教育者としての資格は無い。タバコを吸う医者など言語道断。もちろんどんな職種であろうと医療関係者全体にとっても喫煙は許されることではない。当クリニックでは製薬メーカーの方や、薬の問屋さんなどでタバコを吸う方とは面会しないことにしている。タバコくさい人と話をしたくないし、だいたい、喘息や風邪ひきで、苦しんでいる病人の周りを、タバコくさい人間にうろうろしてほしくない。喫煙者を送り込んでくる(雇っている)会社の見識が疑われる。待合にタバコくさい医療関係者がいたらどうぞ遠慮なく外に出てもらって結構。当クリニックではタバコ吸いはまったく仕事にならないので、禁煙したメーカー関係の方が数名ある。きっかけはともかくたいしたもので、尊敬に値する。私の意地も小さいながら社会(彼らの健康)に貢献したわけである。

 自動販売機にジュースを買いに行く。高校生がいかにもジュースを選んでいる風に立っているが、私が帰りかけるとすっとタバコの自販機の前に移動する。悪いことは分かっているけど止められないのである。大人の喫煙者の多くはタバコを止めたいもしくは減らしたいと思っているがそれが出来ない。タバコ(ニコチン)中毒になっているからである。大人にさえできない(つらい)禁煙を子供にできるわけがないし、全国に53万台ものタバコの自販機を氾濫させておいて、子供だけにタバコを吸うなと強要するのはまったくの身勝手である。子供がいったんタバコを吸い始めると、大人よりもニコチン中毒になりやすく、大人よりもやめにくい。まだ反抗的でなく、"道は右を歩くもの"がすっと受け入れられる10歳までに禁煙教育は必要なのだ。(オーストラリアでは5歳から教育)みんながしっかりタバコを吸ってどんどん病気になってくれれば医者が儲かるなどと馬鹿な冗談を言っている場合ではない。予防こそ最高の医療だ。ところが、癌にならないように、心筋梗塞や胃潰瘍や肺気腫にならないように、診察室でたとえ1時間かけて皆さんにお話ししても一銭にもならないのだ!どうにかしている。

 老人医療費の伸び率が高く医療費が経済を圧迫している。総医療費に上限を設けよう、自己負担を増やそう・・・。増えつづける医療費を何とかしようと、景気対策の地域振興券のごとくその場しのぎの不可思議な対策が次々と言われつづけている。医療や福祉の発展は雇用を生み景気対策にも良いのではないかと思うし、また、そんなに医療費を削減したいのなら、もっと長期的な視野にたってタバコの販売を禁止してしまったらよい。20年後30年後には癌も肺気腫も心筋梗塞も少なくなって医療費は確実に削減できる。それがいやならせめてタバコ一箱2000円くらいにすればよい。ジュース一缶とタバコ一本の値段が同じでもまったく問題ないであろう。

いずれにしても、タバコの問題は、もはや個人レベルではなく、国全体の問題なのだ。ところで、今の小泉内閣の閣僚でタバコ吸いは1人だけだそうだ。無派閥浮動票組の私としては特に小泉さんや自民党に肩入れするわけではないが、ニコチンで汚染されていないクリーンな頭で政策を練ってくれそうで、ヘビースモーカーだった誰かさんよりは何となく期待が持てる。まあ、大きな問題は横に置いておいて、わがクリニックの職員はもちろん全員喫煙者ではないが、その家族にタバコ吸いが多いのが頭痛の種である。このあたりの禁煙教育がさしあたりのクリニックの課題であろうか・・・。


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